スカボロフェア
2010年 02月 11日
ふと、小学生の時同級だったMさんという女の子を思い出した。
家は近所で、確か中学1年生まで同じクラスだった記憶がある。
彼女はとても勉強ができた。
何故か人生を悟ったような目をしてて、
笑った顔を見た事がなかった。
当時無邪気な子供だった私は、そんな彼女がなんとなく苦手で、
特に意識はしていなかったのだが、親しくなることはなかった。
両親の世間話の会話で、
彼女のお父さんは東大出身だけれど、事業をして失敗し、働かずに家にこもっており、
家計を支える為にお母さんが働いているとのことだった。
当時は今みたいに主婦が働きに出ることは珍しく、
彼女と妹、両親との4人暮らしだったが、小さなアパートに住んでいた。
彼女の想い出と言えば2つ。
確か中学1年生の時、
同じクラスの女の子が何かでひどく泣いていて(なんで泣いていたのか覚えてはいないのだが)、
私が慰める為に
「いいよ、泣くだけ泣いたら気持ちが楽になるから」と言った時、
「そんなもんじゃないよ」と横から一言無表情で彼女が言った。
その言葉が、何故か子供扱いされてる気がしてカチンときた。
もう一つは、やっぱり中学1年生の時、
学校で催される合唱コンクールで、クラスとして何を歌うか会議が開かれた時、
彼女が『スカボロフェア』を推薦した。
まだ昭和40年代の中学1年生には馴染みのない曲で、大人びた曲だった。
珍しさもあって、その曲を歌うことになったのだが、
あまり勉強はせず、部活のバレーボールに夢中だった私は英語に随分苦労した記憶がある。
その後、彼女に関する記憶はない。
彼女の住むアパートはうちから50mほど離れただけの近所だった筈なのに、
彼女の進んだ高校も知らない。
どこかで会った記憶もなく、
その後我が家は引っ越し、
彼女のことは今さっきまで記憶から消えていた。
何故急に思い出したのかはわからないが、
サイモン&ガーファンクル『スカボロフェア』
とてもいい曲だ。