退院日

いよいよ退院。

いつもなら嬉しくてしょうがない。

なのに今回はあまり嬉しくない。

入院中の方が楽だし楽しいのは、いつものこと。

看護師などスタッフは親切だし、

患者同士は、同じ痛みを共有する者同士、トラブルを嫌い、互いにいたわり合い、皆仲良くする。

洗面所などで行き合った女性同士、情報交換し合い、時に驚き、時に笑う。

この病院は回転率が良く...入院期間が短く、どんどん手術し、次々新しい患者で病室を埋める...それで黒字をかなり出している病院として有名である。

その為、他県からも手術に来る。


入院して知ったが、差額部屋希望者は、1番安い3人部屋を希望しても(私は3人部屋希望だった)、もっと高い個室に入れる。

さすがに特室(1日2万円+消費税)に入れるには良心が咎める、つーかクレームになるからやらない。

大部屋は狭い部屋にぎゅーぎゅー詰めなので、日に2千円+消費税なら、どうせ数日の入院なので、大抵3人部屋を選ぶ。


私が入院中の8日間にも次々と人が流れて行った。

親しく会話した顔が次々と退院して消えて行った。

基本、患者同士で連絡先を交換することはない。

基本、ここだけの付き合いであることを知っている。

皆帰れば、ここでのようにのんびりは暮らせない。

何より、もう手術なんて懲り懲りで、戻ってきたくなんかない。

忘れてしまいたい。


痛いから手術をしたのに、

手術後はしばらく滅茶苦茶痛い。

麻酔から醒めた最初の晩は、皆痛みで眠れない。

大部屋だと、同室の他の患者に気を使い、「痛い‼️」と叫びたい声を押し殺し、

夜中に何度も目が覚め、なんとか楽な体勢を求めるシーツのすれる音が聞こえる。

麻酔から醒めた晩は、大抵の人が、手術内容にもよるけれど、自力で寝返りなんて激痛でうてない。

体がシーツを擦る音だけが頻繁となる。


手術内容によっては寝返りは辛くはなくても、そりゃ体の何処かを切ってるのだから、痛くない筈もない。

日帰り手術できるものだって、痛いのは同じこと。


そんな「痛い」ばかりの病棟なのに、

絶対もう2度と戻ってきたくはない病棟なのに、

今回は何故か寂しい。

帰宅後の苦労や孤独を想うと、ここの方がまだましに思える。

自宅では、家族はいるのに、誰も私の帰りを待ってなどいない。

「もっと入院してりゃあいいのに。」と思っている。

妄想ではなく、昨日夜見舞いにきた夫に言われた言葉だ。

入院していればお金がかかるのに、それでも私が入院していてくれることを望んだ。

あの男など、その金の工面で苦労する実感など無い。

いつだって自分は好きな事をしていられると思っている。

もともと地方のおぼっちゃま育ちで、息子を溺愛する母親が、息子が困ればすぐにお金をくれていたから、今だに飄々としている。

その姑が亡くなった時点で、私は100%彼女の代わりになったに過ぎない。

私(母親)がいなければ、うるさい事を言われずに好きな事が出来るので、もっといい。


私も我が子を同じように甘やかせて育ててしまっているかもしれない。

我が子が苦労する姿を想像したくない。

それはあくまでも自分が辛いからに過ぎない。

長い目でみれば、少々苦労した方が本人の為になる。

親はいつまでも守ってはやれないのだから。

でもいつまでも守ろうとしてしまう。

息子がオヤジになろうと、母親にとっては「ママ、ママ」と追っかけてきていた幼子のままである。

「ごめんね、寂しかったね、痛かったね、辛かったね。我慢できて偉かったね。」と抱きしめてしまう...あくまでも精神的なものです。いい大人になった息子を抱きしめたりはしません105.png


体の弱い妻、そして母は、家族の重荷でしか既になくなっていたのかもしれない。

私も、そんな事とうにわかっていたから、猫達に愛情を注いだ。

寂しさを猫達が埋めてくれた。

でも、残念なことに、猫は犬より自然に適応する。

居なくなった者をいつまでも恋しんでなどいない。

突然仲間がいなくなることなど自然なことで、

死を特別なことと受け入れないことに繋がる。

誰かがいなくなっただの、死んだなどでバタバタし、メンタル的に消耗するのは人間くらいなものである。

猫は3日もすれば忘れる。

猫と人間の関係は片思いのようである。

それも、キャバ嬢と貢ぐ男、ホストと貢ぐ女のような関係であろう。

猫にハマる人間はM系か?


気がつくと1人だった。

性格が性格だから、適当に心の痛みを慰め合うサブパートナーなんか出来やしない。

実は結構みんなそんな相手を持つ人が多い。

ただし、バレたら大変なので、ひた隠し。

これが70歳過ぎたりすると、開き直る人が結構いる。

それは女性が多いように見受けられる。

長年連れ添った亭主の前でも恋人とイチャつく。

かつて仕事で、そういう人を何人か見て驚いた。

「人生残り少ない」を意識すると、結構、人は大胆になるものだと知った。

特に、亭主に長年泣かされてきた妻に多い。

亭主も、自分が妻を泣かせてきた自覚があるから物言えぬ。

そんなシニア男性の背中は小さい。

お天道様は見ていたのか?

なんか見ていて、ちょっと切ない。



夫はよく自分の妹の自慢をする。

「妹は絶対他人の悪口を言わない。出来た子だ。」

嫌味か?

確かに彼女は出来た人だ。

他人との距離感の取り方が上手い。

まるで教科書のようだ。

私と同じ歳だけれど、子供はいない。

結婚はしており、夫婦仲は良いようだ。

ご主人が次男であり、ご主人のお母様はおらず、お父様は再婚し(3度結婚されたそうだ)、腹違いの兄と弟がいらっしゃることからか、ご主人の実家とお付き合いがなかった。

私とは置かれている状況があまりに違い過ぎて、共通の話題に乏しく、

あまり付き合いがない。

会えば親しく会話はする、程度。

あんな風に上手に生きられたらいいな、と思うけれど、

それには、子供と亭主の実家が邪魔になろう。

彼女も、子供が複数いて、夫が長男で、口うるさい舅姑、義叔母様方がいたら、あんなお手本のような女性ではいられなかっただろう、

と思うは、私の妬みか。


残念ながら、私は良い人にはなれない。

口うるさくて意地の悪い夫の親戚に、ただただ怖くて良い顔してたら、なんかすごく裏表のある人間になってしまった気がする119.png

だって、夫の身内、その地域の方言だそうだけど、皆口が悪い。

最初、もしかして家業は893さん?140.png、と本気で思った。

長男を妊娠してなかったら(できちゃった婚です)、確実に結婚前に逃げた。

まだ20代半ばの今思えば小娘、「893さん?」と思った時点で気持ちが負けた。

以後長年ビビっていた。

相手が年取って弱ってきて、ようやく強気に出れるようになるところ、

やはり私はかなり卑怯なビビりだ122.png

その点においては、さすが我が夫は肝が座っている。

893の血筋だからか?...いや農家だって!


さぁ、そろそろ身支度しよう。

退院(午前中)前にリハビリや診察があり、これからの数時間はバタバタする。

帰宅後は、家事もあるし、配達日時を変更してもらった宅配便や、レンタルの介護ベッド(私が使用119.png)が来る。

介護はしてもらわないけど、つーかしてくれる人がいないけど、腰の負担を減らさねばならぬ為借りることにした。

床からの寝起きのリハビリが進んでおらず、身についていないので不安だったから、病院の相談窓口に相談した結果、そうなった。

とりあえずは、転倒しないように歩くが優先。

あと、介護保険を申請することにもなった。

40歳以上なら、「腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう。私の正式な腰の疾患の病名。)」で2度手術し、固定もされていて、術後後遺症が残った、と言えば介護保険適応になるそうだ。

すると、訪問リハビリを受けられるそうな。

ネットで大抵のことは自宅にいても出来るようになった昨今だけれど、

訪問リハビリは介護保険申請者に限られ不便だった。

リハビリを受けねばならない人間が、そうそう通院できるものでもなし、

自力で通院できるならリハビリは必要ない気がするのは私だけか?

タクシー、まだまだ高いじゃん!

うちの亭主、ゴルフは辞めないし、ゴルフ場に行く為に車も手放せないよ。

よくよく見回すと、日本はとっても不思議な国である。

外国知らないけど105.png





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by sizhimi | 2017-06-13 03:41 | Trackback

整形外科疾患:頚椎後縦靱帯骨化症、腰椎4、5番は変性すべり症によりボルトで固定手術済み、右脚人工股関節、腰椎椎間板ヘルニア手術済み、腰椎2、3番変性すべり症、両手親指付け根変形性関節症、左ひざ半月板損傷により切除&軟骨損傷温存療法中。心臓:不整脈服薬治療中。そんな主婦の徒然日記。


by たまごふりかけ